#31/ 12. 江川紹子「名張毒ブドウ酒殺人事件」
三角関係なんて無い
おはようございます! ヨ田です。
今週も江川紹子「名張毒ブドウ酒殺人事件」を読んでいます。
名張毒ぶどう酒事件は、宴会でふるまわれた毒ぶどう酒によって5名が亡くなった事件です。
この事件で犯人とみられている奥西勝は「三角関係のもつれ」から犯行にふみきったものと自白していますが、その自白は警察に無理矢理でっちあげられたものかも、ともいわれています。
だって、そもそもその動機、変じゃない?とこの本の著者(江川さん)はツッコみます。
ツッコミ1.三角関係を清算するために無差別大量殺人をおかす必要ある? ……まあ、確かに。
ツッコミ2.この事件の当事者たちは、それほど三角関係を気にやんでいなかったのでは?……え、えっ?
ツッコミ2について。
犯人とみられている男と不倫相手とのあいだにはたしかに性交渉があったのです。
しかしたとえば事件の起きた地方では、結婚相手以外との性交渉があちこちで行われていました。特に本件不倫相手のような「若い未亡人」との性交渉は盛んに行われていました。そして男の証言にしても、どうも三角関係を軽く受けとめているような感じがあります。
だから、たとえ結婚相手以外との性交渉が行われていたとしても、世間でイメージされるほどの「三角関係のもつれ」なんて無かったのでは、というわけです。
お堅い世間がイメージするとおりには、当人たちは生きていないかもしれない。
なるほどなあ。
私にしても、たとえば日ごろ誰かと話すとき、相手をお堅い世間のイメージに押し込めちゃって、思ってもないことを語らせちゃったり(「自白」させちゃったり)してないかな。
来週もこの本を読みます。
(江川紹子「名張毒ブドウ酒殺人事件」、岩波現代文庫)
